昨年のこと、父親から「壊れたノートパソコンを処分してくれ」を依頼をされました。
私にわざわざパソコンの処分をお願いしてくるということは、「HDDを確実に処分してくれ」ということです。
私はHDDを物理的に破壊し、読み取ることができないようにしてやりました。
どのように破壊したのかを書いていきます。
HDDを破壊する目的と方法
2019年12月、神奈川県庁で使用されていたHDDが転売されているという事件がありました。
Wikipedia:2019年神奈川県HDD転売・情報流出事件
3TBのHDDが18台、最大で54TBの情報が流出した可能性がある事件です。
現職まではIT業界に身を置いていた私ですが、流出したデータ量としては国内の情報漏洩事件の中では最大ではないでしょうか。
この事件のあと私の所属する会社では、会社のパソコン廃棄の方法を再確認しました。
幸いにも、過去に廃棄したPCもすべてHDDの廃棄証明書を必ずもらうようにしていたため、安心できました。
廃棄業者にHDDを持ち出す人がいたらどうしようもないのですがね。
HDD破壊の目的
さて、HDDをどうして破壊す
るのでしょうか。
皆さんお分かりの通り、データの流出を防ぐためです。
HDDのデータを完全に消すことは結構大変で、OSのフォーマット機能を使用して初期化したとしても復元ソフトを使用するとデータの復元ができてしまいます。
HDDのデータ流出を防ぐために、HDDを破壊するのです。
HDDを破壊する方法
データ流出を防ぐためにはいくつかの方法があります。
- データ消去ソフトを使う
HDDのデータを完全消去するためにのソフトが世の中には存在します。
無料で使えるフリーソフトから、使いやすい(説明がわかりやすい)有料ソフトまであります。これらのソフトではHDD全体に無秩序なデータを書き込み、読み取れないようにする仕組みを備えています。データ消去と聞くと、「きれいさっぱり」というイメージですが、実際には無意味なデータでHDD全体を上書きするようになっています。論理的な破壊といえるでしょう。 - データ消去サービスを使用する
インターネットで、”HDD消去サービス”と検索してみてください。HDD消去のプロが、HDDのデータをあなたに代わって消去してくれます。
様々な会社がこのサービスを提供しており、消去の方法や料金は様々です。
こちらも論理的な破壊といえますね。 - HDDを物理的に破壊する
ハードディスクドライブにはプラッタと呼ばれる磁気ディスクが入っています。
プラッタを破壊することで、HDDを読み込むことはできなくなります。
HDD破壊機というものが存在しておりますが、高価なため個人で購入することは現実的ではありません。
個人で行うなら、HDDを分解しプラッタを露出させ、破壊するのがよいです。
私はこの方法をお勧めします。
実際に破壊してみました
HDDの物理的破壊を実際にやってみました。
破壊するHDDの紹介
実家から持ち帰ったパソコンはSOTECのWinBook WH3514P WH3514Pでした。
Windows Vista機で結構古いパソコンです。
父親からは、「電源つくけど、カチッ カチッと音がして、起動しない」と聞きましたが、実際に現物を確認してみます。
たしかに、カチッ カチッと音がしました。HDDのヘッドの故障と思われます。
パソコンからHDDを取り出してみます。
WESTERN DIGITALのWD1200BEVSという2.5インチ120GBのHDDが出てきました。
使えないHDDなので、「ダメ」と書いてほかのHDDと区別できるようにしました。
このHDDを分解し、プラッタを破壊します。
HDDの分解
HDDに張られたステッカーを剥がし、トルクスドライバーで分解していきます。
トルクスドライバーというのは画像のようなドライバーで、星形や六角形など先端が特殊な形をしているドライバーのことです。
HDDの四隅や中央あたりにあるネジを外していきます。
↓
HDDのカバーを取り外した状態です。
鏡のように光り輝く円盤がプラッタです。こいつを破壊すればOKです。
ドライバーの先端でガリガリ傷つけてみました。プラッタは思ったより硬く、結構な力を込めないと傷つきません。
画像がないのですが、このあとはドライバーとペンチでプラッタを破壊しました。
プラッタはガラスのように細かい破片が飛び散るので、ケガをしないように慎重に作業ましょう。
HDDの処分
HDDを破壊したら、お住いの自治体のルールに従って廃棄できます。
ゴミ回収の方や周りの方にケガをしないよう配慮して、廃棄しましょう。
私の場合は、ゴミには出しませんでした。
ノートパソコンに「PCリサイクル」の表記があるので、メーカーの回収申し込みサイトからメーカーに無料引き取りをしてもらいました。
意外とPCリサイクルについてご存じない方がいるのですが、パソコンリサイクル法で家庭向けに販売されたパソコンやディスプレイの回収とリサイクルをメーカーに義務付けられています。製造メーカーはパソコンを回収してくれます。
そのため、プラッタを破壊してからHDDを組み立てて、元のノートパソコンに戻しました。
※法人向けPCなどはメーカーの無償回収を受けられない場合があります。
データ消去ソフトを使ってみました
ディスク消去ユーティリティ
2020年5月追記
「ディスク消去ユーティリティ」を使ってディスクを消去してみました。
使い方はとてもシンプルで分かりやすいものです。
しかも無料で使用できます。
今回は、500GBのHDDをUSB3.0で外付けし「ゼロライト」方式で消去しました。
およそ1時間半で処理完了です。予想以上に早く終わりました。
処理時間はHDDの接続方式やHDDのデータ書き込み量によって可変すると思います。
HDD消去が終了すると、未フォーマット状態になるので、ディスクの管理からディスクをフォーマットすると再度使用することができます。
データ復旧ソフトで確認
EaseUS Data Recovery Wizardでデータ復元
ディスク消去ユーティリティで消去したHDDを↑の記事で使用した、EaseUS Data Recovery Wizardでスキャンしてみました。
画像がないのですが、スキャンしても復元できるデータは一つも見つかりませんでした。
HDDを譲ることがある場合などにディスク消去ユーティリティは有効ですね。
まとめ
HDDを破壊するシチュエーションはめったにないですが、データの流出を防ぐためには確実に破壊することをおススメします。
私が紹介した方法以外にも、塩水に浸したり、某国会議員の関係者のようにドリルで穴を空ける方法もあるようです。
自分に合ったデータ流出対策をしましょう。
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